Niijima Tatsuhiko

新島龍彦

philosophy

本の脇道

本は情報と想いを伝えるために生まれる。
内容を読み手にしっかりと届けることに本の使命がある。
それこそが、本の王道だと思う。

にもかかわらず、その王道に沿って歩いてきたつもりが、気づけばわたしは脇道のようなところを歩いている。
本が本として生まれる時に、記された内容とは別の意味や価値が生まれるのではないかという、
王道からは外れた道だ。

それは、本を手に取る人に本の内容だけではなくて、
本が生まれるでに起こった物語や、本を作ることを決めた人の想いに、
価値を見出してもらいたいと願い本を作っているということ。

本が生まれようとする場所に生じるエネルギーや想いは、
それだけで人の心を潤す、本の内容と同じくらい価値あるものだと、
わたしには思えてならない。
そういった想いとエネルギーに支えられて、本はこの世界に存在している。

本を作る時に自分の想いやエネルギーが見えすぎてしまうのはわたしの未熟だ。
それでも、その脇道はこれからの本の在り方のひとつとなるのではと、
わたしは信じて歩いている。