Niijima Tatsuhiko

新島龍彦

philosophy

無私の本

いつか作れたらと思うのは、
無私の本。
その本に在るのは物語だけ。
作り手の工夫も、
デザインの意図も、
時には作者すら感じさせない、
物語そのものである本。

それはきっと、
読み手がいつまでも、
心に留めておきたくなるような本。

それはきっと、
例えようもなく、
美しい本。

私にとっての本を作るという営み

物語がそのまま形になったような本を作ること。

形態やジャンルにとらわれるのではなく、内容にどこまで本が寄り添えるかを考え、
絵本やアートブック、句集の特装本や1点物の箱などを、手と少しの機械と道具で制作してきました。
そんなある日、「紙に物語が宿ると本になる」という言葉が不意に頭の中に浮かんできました。

自身の作品を振り返ってみると、そのいずれもが、
いかにして「触れることのできない物語」を「質感そのものである紙」に宿らせるかの挑戦であったようです。
そうして生まれた本は、時として一般的な本の形とは異なることもありましたが、
その道にこそ、まだ誰も知らない、見たことのない本の可能性があると今は信じています。